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ヒューマノイドブログ

第4回 GMO大会議・秋・フィジカルAI 2026 参加レポート

第4回 GMO大会議・秋・フィジカルAI 2026 参加レポート

 2026年9月15日、セルリアンタワー東急ホテルで開催された「第4回 GMO大会議・秋・フィジカルAI 2026」に参加しました。テーマは「フィジカルAI — 産官学連携が描く日本の成長戦略」。AIが画面の中から現実世界へ飛び出していく、その最前線に立つ方々が集まる一日でした。

アーカイブ動画:https://www.youtube.com/live/hIVOCYVoJx8?si=n3jV7Jp3Q-V5VPcp

1.当日のプログラム

  1. オープニング(ヒューマノイドロボットによるダンスパフォーマンス)
  2. オープニングメッセージ|熊谷正寿 グループ代表
  3. ビデオメッセージ|高市早苗 内閣総理大臣、片山さつき 財務・金融担当大臣
  4. 講演|東條英俊さん(Anthropic Japan 代表執行役社長)
  5. 取り組み紹介|GMO AIロボティクス商事
  6. パネル|「うちはAIにいくら使っている?」から始めるトークンマネジメント
  7. 講演|松本尚さん(衆議院議員・デジタル大臣)
  8. パネル|四足歩行型ロボットによる警備実証実験
  9. 表彰|GMOフィジカルAIアワード2026
  10. 講演|平野一将さん(エヌビディア合同会社 ロボティクス事業部長)
  11. パネル|フィジカルAIを動かす学習データの作り方
  12. パネル|AIで攻撃が加速する今、どう「先に」守るか
  13. 講演|藤井輝夫 東京大学総長
  14. アフターパーティー(GMO Yours・フクラス)

 司会はフリーアナウンサーの加藤綾子さん(カトパン)。冒頭の大迫力のロボットダンスや豪華な登壇者の皆様が勢ぞろいの構成に、GMOが日本におけるフィジカルAIの最前線にいることを改めて実感しました。

2.私が個人的に印象に残ったプログラム5選

①オープニングメッセージ:熊谷代表

 まず、同じロボットの昨年の映像を見せてくださいました。当初は歩くだけで精一杯のロボットが1年でここまで来て、いまはバク転も格闘技も自律判断でこなすように変化した、この変化率に着目していました。特に今年の変化率はグラフ上で垂直なのだと。理由は、AIが自分自身をコーディングする段階に入ったから。人間は1日8時間しか働けずコピーもできないが、AIは電気さえあれば24時間動いて並列に増やせる。だから垂直は続く、と。

 日本はこの変化率に対して周回遅れもいいところで、31年この業界を見てきて今年がいちばん危機感がある、というお話に会場の空気が引き締まりました。

 次に、「GMOは中国製のヒューマノイドを売っているけど大丈夫なの」と言われることがある、と代表自ら切り出された場面が印象に残っています。アンサーとして、大前提日本を良くしていくことが目標だと話されていました。日本への取り組みとして、日本企業である自動運転ベンチャー・チューリングさんへの出資とGPU基盤の提供、そして輸入したロボットを分解・点検してバックドアがないことを確認する「GMO SAFE」などの取り組みをご紹介されていました。

 特に印象的だったのは「日本は部品は供給しているけれど、イケてるボディを作っていない」という指摘です。ユニツリーもオプティマスも、中身は何割も日本製の部品なのに、と。だからEVシフトで仕事を失いかねない自動車の城下町の中小企業こそ、いまヒューマノイドに移るべきだ、と。海外製品を扱いながら目的はあくまで日本を盛り上げることなのだと、はっきり伝わってきました。

②「うちはAIにいくら使っている?」から始めるトークンマネジメント

 ゲストは、OpenAIの齊藤初雲さんとデジライズの茶圓将裕さん。モデレーターはGMO天秤AIの山城博規。個人的に一番の収穫でした。

 論点は明快で、企業のAI活用の問題点として、「定額のWeb型を社員が使ってくれないこと」と「従量課金のデスクトップ型が使われすぎてコストが高いこと」の二極に分かれている、という整理です。そのうえで結論は、「どちらもすぐに止めるべき問題ではなくリターンで判断すること」でした。

 齊藤さんの「トークン利用は一種の投資戦略」、茶圓さんの「ひとり1,000円のトークン代を節約するより、ひとり100万円払って1億円の売上を出す発想」という言葉が象徴的でした。

 提案資料の作成が24時間から10分になり、訪問できる顧客数が増えて営業成績に効いたという具体例も。コスト削減を目的にするのではなく、ROAI(Return on AI)を考えてコストを管理するという考えは、そのまま自分の業務に当てはめて考えられるものでした。

③講演:松本尚デジタル大臣

 日本成長戦略の17分野62事業に、AIとサイバーセキュリティが横串として刺さっている、という話から始まりました。繰り返し強調されていたのが「ソブリン」。そのAIがどこで作られ、中身がどうなっているのかが、国民がAIを使ううえでの信頼の拠り所になる、という視点です。

 具体例はAI医療でした。医師としてのご経歴を踏まえ、日本の外科技術や内視鏡技術をAIに学習させれば大きな産業になるとのお話でした。「アメリカ製のAIロボットがあなたを手術します」と言われて患者は信用するのかという問いを立て、国産の手術支援ロボット「hinotori」を軸に経産省・厚労省・東大松尾研と組んで進めたい、と語られました。

 技術の優位性よりも「誰が信用するか」から逆算してソブリンを説明されたのが印象的でした。データとモデルを国産のものにし、医療に活用するという、医者と政治家の両方を経験されてきた松本大臣ならではのお話で、非常に説得力がありました。

④四足歩行型ロボットによる警備実証実験

 ゲストは千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長・古田貴之さん、ALSOK執行役員CTO・佐藤将史さん。モデレーターはGMOインターネットグループの西山裕之副社長。陸上自衛隊の駐屯地で行った警備実証を民生に転用する、進行中のプロジェクトのお話でした。古田さんが非常に愉快な方で、お三方とも終始笑顔で対談されていました。

 話の中心が技術ではなく「どうすれば社会実装まで到達するか」だったのが興味深かったです。ロボット本体は海外製でも、コンピュータとセンサーは全て載せ替え、基板を分解して顕微鏡で確認するところまでやってセキュリティを担保する「GMO SAFE」があれば安心材料となり社会実装につながること。また、日本で四足歩行の実験の前例がないため、道路使用許可、緊急停止装置、ウィンカー、果てはナンバープレートまで求められたことのお話をされていました。

 最も印象的だったのは、古田さんの「産官学連携は1日だけのデモで終わることがほとんどで、社会実装されたのを見たことがない」という言葉でした。だからこそGMOとALSOKと協力して本気で取り組めている今が素晴らしいとのことでした。単なる見せかけのデモで終わらせて満足するのではなく、本当に社会実装されるようになる日がとても楽しみです。

⑤講演:藤井輝夫さん(東京大学総長)

 大会議を締めくくる最後のプログラム。ご自身のロボット研究のお話から始まりました。1988年頃修士課程で水中を泳ぐロボットを開発されていたそうです。水中の運動は力学モデルを作るのが難しく、「このままで卒業できるのか」と悩んだ末に思いついたのが、「泳いでいるうちに泳ぎを学習して、自分でうまく泳げるようになるロボットを作ればいい」という発想だったとのこと。当時の神経回路網の教科書をもとにそれを実現し、無事に修士号を取られたそうです。

 30年以上前に強化学習でロボットを動かしていた方が、いま総長としてフィジカルAIを語るという構図そのものに引き込まれました。大学で東大総長の講義を受けているかのようで、非常に興味深かったです。

 後半は、責任あるイノベーションの話でした。AIが人類の脅威かという議論は昔から繰り返されてきたもので、遺伝子組み換えのアシロマ会議やゲノム編集でも同じことが起きた、と科学史に位置づけて説明されました。そして、フィジカルAIが工場の外に出てロボットが動き出したとき、何かが起きたら誰がどう責任を取るのか、社会制度まで含めて設計しなければならない、と。米国で開発にブレーキをかける議論が広がっているという最新の議論まで踏まえて話されていて、この分野への向き合い方が伝わってきました

 最後に紹介されたのが、2027年秋に開設される新しいカレッジ「UTokyo College of Design」。技術だけでなく、新しい社会の仕組みそのものを構想できる人材を育てるという構想です。フィジカルAIの実装を「誰がやるのか」という問いに、教育という答えで応えられていて、締めくくりにふさわしい講演だと感じました。

3.おわりに

 「フィジカルAI」を抽象的なキーワードではなく、具体的な実装課題として持ち帰れた一日でした。フィジカルAIが社会実装される日もそう遠くはないのかもしれません。

 今回の大会議もYoutube上でアーカイブが公開されていますので是非ご覧ください。

 私は前回アーカイブで視聴していましたが、現地での大会議は学びの質が違いました。

 参加無料です。皆様も次回はぜひ会場で!

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